しまねのひと:手話通訳士資格を持つ益田市職員・田根亜由子さん /島根

 

4月に益田市に採用され、県内で初めて手話通訳士の資格を持つ自治体の正規職員となった。生活福祉課に配属となり、民間の仕事では経験しなかった行政の事務にまだ慣れない様子だ。聴覚障害者を含め市民が抱えるさまざまな困難に向き合いたいと望むが、「今は、まず仕事を覚えることが先決ですね」と笑う。セイコー 腕時計

 手話通訳士は厚労省が認定する合格率約20%の公的資格。手話でコミュニケーションする人には不可欠で、手話の個人差も理解して意思疎通する。ただ、県内には現在12人しかおらず、なかなか育たないのが現状という。カシオ 腕時計

 原点は小学生時代。下校時に出会う大人にあいさつする中、1人だけ通じない男性がいた。「耳が聞こえないのかも」と思い、手も挙げるようにし、卒業まであいさつだけは続けた。高校時代、手話の存在を知って男性を思い出した。「手話ができれば話ができるんだ」。カシオ 時計

 高校卒業後、地元の手話サークルで手話を学び、聴覚障害者と交流を重ねた。1983年の水害など、いざという時に障害者が直面する苦難を知った。「必要とされた時、資格がないからできないとは言いたくない」。仕事の合間をぬって県認定の手話通訳者、さらに手話通訳士の資格を得た。

 自身、難病の全身性エリテマトーデスを抱え、足などに障害を持つ。「障害者や高齢者、難病者らの目線をまちづくりに反映させれば、すべての市民にとって住みやすい安全で安心な町になる」と意気込んでいる。【江田将宏】シチズン 時計